お葬式の事前準備を薦める理由|住職が教える打ち合わせ前に知っておきたいこと

「そろそろお葬式の準備を考えたほうがいいのかな…でも何から始めれば?」
こんなふうに思ったことはありませんか?
終活の一環として「お葬式の準備」を考えることは、とても大切なことです。しかし、いざ考え始めると疑問が次々に出てきます。
- お葬式って、結局いくらかかるの?
- どんな準備が必要なの?
- 事前に決めておいた方がいいことって何?
家族が亡くなることは非常につらいことですが、避けては通れない現実でもあります。そして多くの方が、人生で数えるほどしか経験しないお葬式に対して、知識も準備も不足したまま、突然その時を迎えてしまいます。

葬儀会社のスタッフさんに聞くと、お葬式の事前相談をする方は全体の2割弱という事実がわかりました。
あらかじめイメージを持っておくだけでも、いざという時に慌てず、心から納得のいくお見送りができるものです。
この記事では、住職としてお葬式の現場に関わってきた私の視点から、実際の流れに沿ってご紹介していきます。
- お葬式の際、葬儀会社とどんな打ち合わせをするのか
- お葬式の事前相談をするメリット
- お葬式の事前準備として何を把握しておけばよいのか
結論として、お葬式の費用は目安として以下のとおりです。
お葬式の種類 | 内容 | 最も多い価格帯 |
---|---|---|
一般葬 | 親族・友人・会社関係も参列 | 120円以上〜140万円未満 |
家族葬 | 家族・親族のみで行う | 60万円以上〜80万円未満 |
一日葬 | 通夜を省略、1日で行う | 20万円以上〜40万円未満 |
直葬・火葬式 | お別れの儀式なし、火葬のみ | 20万円以上〜40万円未満 |
しかしながら、明確な金額を出すには、参列する人数やお葬式の規模などによって変動します。そのため、どんなお葬式をイメージしているかをご自身やご家族ではっきりさせる必要があります。

本記事が、お葬式の事前準備をする一助になれば嬉しいです。
お葬式の打ち合わせで主に決めること
お葬式の打ち合わせでは、以下のようなことを具体的に決めていきます。
- お葬式の形式
- 一般葬/家族葬/一日葬/火葬式
- 式場の希望
- 規模や人数に応じて提案されます。
- お葬式の日程調整
- お坊さんの都合確認
- 火葬場の予約
- 遺影写真の準備
- 生花祭壇の内容
- 料理や返礼品の内容
- メモリアルコーナーに飾るものの準備
これらは一つひとつ決めていく必要があり、時間とエネルギーが必要になります。だからこそ、あらかじめ「希望のカタチ」を持っておくことがとても大切です。

突然のお葬式で、なにをどう決めればよいか分からないとならないためにも事前相談をすることをオススメします。
お葬式の事前相談をする3つのメリット
お葬式の事前準備には、大きく分けて3つのメリットがあります。
以下で詳しくご紹介します。
1. 費用や内容を把握し、自分たちに合ったお葬式を選べる
事前相談を行うことで、葬儀の内容や流れをあらかじめ把握することができ、自分たちの希望に合った形式や規模を落ち着いて選べるようになります。
また、費用の見積もりを取っておけば、「だいたいこれくらいかかるんだな」という目安ができ、金銭面の不安を大きく減らすことができます。
さらに、複数の葬儀社を比較検討できたり、早めに手続きをすることで割引や特典が受けられたりお得になる可能性もあります。

費用面でも納得できる選択がしやすくなります。
2. 心の余裕が生まれ、納得のいくお葬式につながる
大切な人が亡くなった直後に、何をどう準備すればよいのかを一から考えるのは大変な負担になります。
しかし、事前に準備を進めておくことで、いざというときに慌てず、故人を想う時間をしっかりと持つことができます。
また、時間をかけて信頼できる葬儀社を選ぶことができるため、対応の丁寧さやスタッフの人柄を比較したうえで、安心して依頼できるという安心感も得られます。
結果として、希望や思いを反映した納得のいくプランを作ることができ、「こうしておいてよかった」と思えるお葬式につながります。
3. 文化や宗教の理解が深まり、家族での共有もスムーズになる
お葬式は、地域の慣習や宗教的な考え方と深く関わっています。
事前準備を通して、そうした背景を理解しておくことで、適切な形式やマナーを踏まえたお葬式を行うことができます。
また、家族の間で「どんなお葬式にしたいか」「宗教はどうするか」「誰に声をかけるか」などの意見を事前に共有しておくことで、考え方のズレや誤解を防ぐことができ、スムーズな話し合いが可能になります。
こうした対話を通じて、お葬式の意味や死生観についても自然と向き合うことができ、家族の絆がより深まる貴重な機会となります。
お葬式の事前準備として把握しておきたい6つのポイント
お葬式の事前準備として把握しておきたいポイントは以下のとおりです。
参列人数の見込み
人数の把握は、料理・返礼品の数や会場選定にも関わってきます。
- 親族関係
- 遠方でも一度は声をかけるのが基本
- 会社関係
- 故人またはご家族の職場関係
- 故人の交友関係
- 年賀状のやり取りなどから推測するのも一つの方法
人数が不明なままだと、費用見積りも曖昧になってしまいます。
どんなお葬式にしたいのか
お葬式は形式によって、費用や流れが大きく変わります。
お葬式の種類 | 内容 | 最も多い価格帯 |
---|---|---|
一般葬 | 親族・友人・会社関係も参列 | 120円以上〜140万円未満 |
家族葬 | 家族・親族のみで行う | 60万円以上〜80万円未満 |
一日葬 | 通夜を省略、1日で行う | 20万円以上〜40万円未満 |
直葬・火葬式 | お別れの儀式なし、火葬のみ | 20万円以上〜40万円未満 |
「親戚や知人を呼ぶべきか」「費用を抑えたいか」など、家族の希望や状況に合わせて、方向性を考えておきましょう。
宗教・宗派の確認
- 仏教(日本では主流)
- 浄土真宗・曹洞宗・真言宗など宗派によって儀礼が異なります
- 神道
- キリスト教
- 無宗教 ほか
特に仏教葬儀を希望される場合は、菩提寺の有無や宗派の確認が重要です。
お寺との付き合いの有無
ある場合は、亡くなった際にはすぐにご連絡をしましょう。
ない場合は、以下のように探します。
- 実家の菩提寺に依頼
- 葬儀社の紹介
- 自分で探す(供養後の檀家加入が条件の場合も)
お墓の有無・今後の供養方法
- ある場合はお墓に納骨
基本的には、家系を引き継いだ方(例:長男さん家族)のみがお墓に入れます。
「実家のお墓に入れると思っていたけど、入れなかった」とならないためにも、自分が実家のお墓に入れるかどうかを確認しましょう。
- ない場合
- 永代供養にする
- 市営・寺院墓地に個別墓を建てる
- 樹木葬 / 海洋散骨を選ぶ
将来の供養のあり方まで考えておくことが理想です。
祭壇のイメージ

祭壇のイメージもしておきましょう。
- シンプルでいい
- たくさんの生花で見送りたい / 見送ってほしい
祭壇の生花のボリュームによって費用も変動します。

自分がお葬式にどんなイメージを持っているのかを再確認する意味でも大切だと思います。
葬儀会社の選び方|信頼できる業者を見極めるチェックポイント
葬儀会社は、人生でそう何度も関わる存在ではありません。だからこそ「どこに依頼すればいいのか分からない」という不安を抱える方が多いのが現実です。
ここでは、後悔しない選択のために、信頼できる葬儀会社を見極める際のチェックポイントを、住職としての視点から詳しくご紹介します。
事前相談を受け付けているか
事前相談は、信頼できる葬儀会社かどうかを見極める一番の機会です。
無料相談の場でチェックすべきポイントは以下の通りです。
- スタッフの対応は丁寧か
- 質問に対して誠実に答えてくれるか
- 自社都合ではなく、こちらの事情を聞いてくれるか
特に、営業トークが強く、すぐに契約を迫るような態度を感じた場合は慎重に検討しましょう。

お葬式は「契約」ではなく「信頼関係」がベースです。
小さな相談にも耳を傾けてくれるかどうかが、実際の葬儀当日の安心感につながります。
料金が明朗に提示されているか(プラン内容・追加料金の説明)
「結局、全部でいくらかかるのか」が見えない葬儀会社は要注意です。
たとえば「基本プラン10万円」と書かれていても、実際には追加で費用が加算されるケースがあります。
- 火葬料
- 遺影写真代
- お布施(紹介料込み)
- 搬送費・保管料
- ドライアイス
- 返礼品・料理

最終的に高くついたとなるケースがあります。
以下の点に注目してみてください。
- プラン表はありますか?(紙・Webどちらでも可)
- 含まれる内容・含まれない内容の説明が明確ですか?
- 追加費用が発生するケースはどこか?
「何がいくら」で、「なぜその費用が必要なのか」を、こちらの立場に立って丁寧に説明してくれる業者は信頼できます。
地元密着型か全国展開型かの違いを理解して選ぶ
葬儀会社には、大きく分けて以下の2種類があります。
種別 | 特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
地元密着型 | 地域に根ざした個人〜中規模業者 | 顔が見える対応/柔軟な調整 | 施設数が限られる場合も |
全国対応型(仲介型) | 大手のネット系サービス | 選択肢が豊富/資料請求が簡単 | 担当者の質にばらつきがある |
「料金が安かったから」と全国展開型の葬儀会社を選ぶと、地域慣習にあっていない必要以上のオプションを営業されたというケースがあります。

料金だけでなく、「誰が来てくれるのか」「地域の慣習を理解しているか」も重要な判断材料になります。
口コミ・評判をチェックできるか(Googleレビューなど)
「口コミを見ると悪い評価が少しあるので不安です…」という方もいらっしゃいますが、評価が高すぎるよりも、リアルな声がある方が信頼できます。
- Googleで「葬儀社名+口コミ」で検索
- Googleマップで葬儀会社の口コミを見る
- SNS(XやInstagramなど)での利用者の声
- 地域の評判(知人や寺院などに聞いてみる)

全体の傾向を見て、「なぜ良かったのか」「どこが悪かったのか」を具体的に書いてあるかに注目しましょう。
資料請求サービスを活用してみよう
資料請求サービスは、単にパンフレットが届くだけではありません。
喪主になる可能性がある方や、終活としてお葬式について学びたい方にとって、以下のような実用的な情報が得られます。
どんなお葬式場があるのかが分かる
写真付きのパンフレットには、実際の式場の雰囲気や広さ、設備の様子が掲載されています。
- 自宅から近いか
- 参列者にとってアクセスは良いか
- 清潔感や設備はどうか
などをそれぞれの式場を一覧で確認できるのが大きな魅力です。
どれくらいの費用やプランがあるのかを把握できる
お葬式の費用は、形式やオプションによって大きく変わります。
パンフレットには、以下のような情報が明示されていることが多く、費用感を把握するのに非常に役立ちます。
- 家族葬・一日葬・直葬などの料金プラン
- 含まれるサービスと追加料金の目安
- 返礼品・料理などのオプション案内
初めてお葬式を考える方でも、相場感を掴みやすくなります。
お葬式の基本知識や喪主の心構えも学べる
資料のなかには、「葬儀の流れ」「喪主の役割」「失敗しない準備のポイント」などを解説した小冊子が同封されている場合もあります。
たとえば、
- 喪主としての当日の動き
- 受付や挨拶のマナー
- お布施やお供え物に関する知識
など、葬儀に関する不安や疑問を事前に解消しておくことができ、いざという時の心の備えになります。
まとめ
今回は、以下のことについて学びました。
- お葬式の際、葬儀会社とどんな打ち合わせをするのか
- お葬式の事前相談をするメリット
- お葬式の事前準備で何を把握しておけばよいのか
私の知り合いの葬儀会社さんも、事前相談に来るお施主さんは当日慌てていないという話もあります。
突然のお葬式でアタフタしないためにも、事前準備をすることをオススメします。

少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!